小学校受験をお考えになったとき、まず思い浮かべるのはペーパーテスト対策でしょう。
「どんなお勉強をしたらよいのか?」という疑問に対する答えは、すべて過去問の中に隠されています。
入試問題というのは学校によってさまざまですが、過去問を解いてみると、その学校独自の“一定の傾向”があることに気が付きます。
例えば
・よく出題される範囲、あまり出題されない範囲
・出題方法や解答方法(選択問題なのか記述なのか、など)
・出題される問題の難易度
・問題文の言い回し
・全体の問題数や制限時間 など、学校によってパターンが見えてきます。
過去問を繰り返し解いて、入試問題の傾向をよく知り、解き慣れておくことが重要な第一歩となるのです。
ここでは立命館小学校の過去問(類似問題)の抜粋をし、気軽に解いていただけるようにしました。ぜひチャレンジしてみてください。
2016年過去問より「右手左手」
【問題】左手に〇をつけましょう。
左右を理解していることはもちろん、平面で描かれた手の形を自分の手に置き換える想像力が必要です。
さらには、自分だけでなく向かい合う相手の左右についても正しく認識することがポイントです。
「右手左手」の問題 家庭学習のポイント
1.まずは自分の手を使って、左右の感覚を身に付けます。
「お箸を持つ手が右手、お茶碗を持つ手が左手」といった基本を定着させます。
旗あげゲームなどをしてみるのも楽しい学習になるでしょう。
1.次に「見る方向を変えると、こんな形になる」ということをよく観察します。
また、手の形をいろいろ変えて練習してみましょう。
1. 自分以外の左右について理解を深めます。自分以外の人の側に立つと左右が逆転するというイメージをしっかりと頭の中で描けるようになりましょう。
親子で問題を出し合いながら、一緒に楽しく練習しましょう。
おすすめ問題集
●こぐま会 ひとりでとっくん 30みぎ・ひだり
●のびラボ 分野別くりかえし みぎひだり
2017年過去問より「季節」
【問題】同じ季節のものを、上と真ん中、下を線で結びましょう。
小学校受験で「季節に関する問題」はよく出題されます。
なかでも植物、生き物(鳥や虫)、行事などはとくに押さえておくべき分野です。
生活の中で意識的に学ぶ場面を作り、コツコツと知識や語彙を増やす必要があります。
「季節」の問題 学習のポイント
身の回りの観察・実際の体験
「百聞は一見にしかず」です。子どもは何よりも実際に見たもの、体験したものから多くを学びます。
例えば
・公園に足を運び、草花や生き物を観察する
・ご家庭で季節の行事に親しむ機会を作る
・季節のお花を飾る
・旬の食べ物を食卓に取り入れる
など、生活の中で季節を感じられる体験こそが、最も効果的な学習です。
図鑑
より深く、幅広い知識を身に付けるため、図鑑や百科事典などをお子さまの手の届く場所に普段から並べておくことをおすすめします。
公園で見つけた草花や生き物を、図鑑で調べてみるのも良いですし、お子さま自身が興味を持ったページをペラペラと眺めて楽しむことも、すべて学習のひとつです。
カード学習
問題を解くうえでは、絵を見てすぐに言葉が思い浮かぶことと、その絵が示す季節を知っていることが重要です。瞬発的なアウトプットの練習には、カード学習が有効な手段です。きせつカード、ことばカード、花カード、昆虫カードなど様々な種類のカードがありますので、ゲーム感覚で楽しく学べるツールとして取り入れてみましょう。
おすすめ問題集
●こぐま会 ひとりでとっくん 74季節
●理数会 ばっちりくんドリル 季節と行事(基礎編)(応用編)
●ピグマリオン 能力養成問題集 16 季節感
●のびラボ 分野別くり返し 季節のカード・季節の花、植物
季節の行事・季節(総合問題)
2018年過去問より「しりとり」
【問題】しりとりをして3つの絵が全部つながるものには○、つながらないものには×をつけましょう。
「しりとり」は子どもにとっても親しみのある遊びのひとつです。
しかし、小学校受験で出題される「しりとり」の問題のなかには、出題形式が複雑なものも少なくありません。
例えば先ほどの問題でも、
1.質問の内容を正しく理解する
2.一つ一つの絵を言葉に変換する
3.しりとりでつながるかを検証する
という3段階の作業を、順番に正確に行わなければいけません。
また、示された絵を言葉に変換するためには、豊かな語彙力も必要です。
「しりとり」の問題 学習のポイント
たくさんの「ものの名前」を知る
「しりとり」の問題にはさまざまなジャンルの絵が使用され、幅広い知識や語彙力が必要です。
草木や生き物、日本の文化に関するものの名前などは、とくに押さえておくとよいでしょう。
知識や語彙を増やす方法は、前述した「季節」についての学習ポイントとよく似ています。
1.実物に触れる機会を積極的に与える
2.生活の中で触れることが難しいものは図鑑などで学ぶ
3.絵本の読み聞かせの習慣化
4.カードを使って、絵から言葉へのアウトプットの練習
以上の点を意識しながら、日々コツコツと知識や語彙を増やしていきましょう。
思考力をつける
ある単語の「最後の音」を使ってその音から始まる新たな単語を見つけて答える、というしりとりの基本ルールを、まずは理解し練習しましょう。
親子で楽しみながら練習する中で、新たな語彙との出会いがあるでしょう。また、練習するほどに、次の言葉がすぐにひらめく力も付いてきます。
慣れてきたら、「3文字しりとり」「暗唱しりとり」「逆さしりとり」など、レベルアップした「しりとり」にもチャレンジしてみましょう。
複雑なルールにそって、順序立てて考える力を養うことで、さまざまな出題形式に対応できる思考力が身に付きます。
おすすめ問題集
。
●こぐま会 ひとりでとっくん しりとり(1)(2)
●理英会 ばっちりくんドリル 音・しりとり (基礎編)(応用編)
●ピグマリオン 能力育成問題集 しりとり
●のびラボ 分野別くり返し しりとり(step.1)(step.2)(step.3)
2019年過去問より「数1」
【問題】
①サイコロの出た目の数だけ動物が進みます。とまったところに〇をつけましょう。
②コアラが〇の所まで進みました。2回目のサイコロの目はいくつですか。
そのサイコロを下から選んで、〇をつけましょう。
①の問題では、2つのサイコロの目の数を合わせた数だけ右へ移動します。
一見すると「足し算」の要素を含んでいて難しく感じるかもしれませんが、その必要はありません。
まず1つ目のサイコロの目の数だけ右に進み、その場所から2つ目のサイコロの目の数だけさらに右に進むという、たった2つの動きを“正確に”行えば良いのです。
②の問題では、1つ目のサイコロの目の数と〇の位置から、?の中に隠れた数を考えます。この場合、まず1つ目のサイコロの目の数だけ右に進みます。そこから〇までの四角の中に印をつけて数えると、?に入る数が分かります。
「数」の問題 学習のポイント
このような「数」に関する問題では、単純なミスをなくし確実に数えることが最も大切です。
普段から、「印をつけながらしっかり数える習慣」を身に付けると良いでしょう。
また、この単元は易しい問題から複雑な問題まで出題形式が様々です。
「あわせていくつ?」のような数の合成の考え方を使う発展的な問題にもありますので、段階を踏んでチャレンジしてみましょう。
おすすめの問題集
●こぐま会 ひとりでとっくん 16分類計数1・2
68数あてゲーム
●理英会 ばっちりくんドリル 計数 基礎編・応用編
隠れた数・数の合成 基礎編・応用編
●ピグマリオン 能力育成問題集 数と計算①・②・③
●のびラボ 分野別くり返し 計数 step.1・step.2・step3
数の構成 step.1・step.2・step3
2019年過去問より「移動」
【問題】
①左上の矢印のひこうきから、左下の矢印まで、ひこうきの向きの通りに進んでいきます。矢印から矢印に進む線を書きましょう。
②途中に「?」で消えているところがありますが、そこに入る正しい向きのひこうきを右の絵の中から、選んで〇をつけましょう。
①の問題は、指示どおりに1つ1つの絵を確認しながら移動していくことでゴールに到着することができます。
小学校受験には、このように正確な作業を求められる問題がしばしば出題されます。
②の問題では、?にどの向きのひこうきを入れれば良いかを考える必要があります。
このような場合も「1つ1つ試してみる」といった、着実な作業で答えを見つけることができます。
「移動」の問題 学習のポイント
この問題から少し発展して、決められた条件に沿って移動していく“条件迷路”というものもあります。こちらもゲーム感覚で楽しみながら練習してみると良いでしょう。
また「移動」の単元の中には、条件やルールがさらに複雑で難しい問題もあります。
その中でも「地図上の移動の問題」などはつまずきやすいポイントなので押さえておきましょう。
おすすめ問題集
●こぐま会 ひとりでとっくん 07めいろ
44 地図上の移動
58 いろいろないどう
●理英会 ばっちりくんドリル 位置・位置の移動 基礎編・応用編
●のびラボ 分野別くりかえし 迷路 step.1
2020年過去問より「積み木の数」
【問題】何個の積木があるか数えましょう。その数だけ○を書きましょう。
「積み木の数」の問題も、小学校受験ではよく出題される定番問題です。
正確に数を数える力はもちろん、平面に描かれた積み木の絵から「見えない積み木」を想像する、「空間認識力」も重要です。
例えば、先ほどの問題を見てみましょう。
①は、すべての積み木が見える並び方です。
一つずつ正確に積み木を数えることができれば正解です。
ところが②では、奥に隠れている「見えない積み木」をイメージして、なおかつ正確に数える必要があります。そこに難しさを感じる子も少なくないでしょう。
「積み木の数」の問題 学習のポイント
ものの数を正確に数える練習
「数が言える」ことと、「ものの数が数えられること」は全く別ものだということを知っておいてください。
例えば1から20までの数をスラスラ言える子でも、指さしながら数を声に出してものの数を数えてみると、声と指がずれてしまうといったことがよくあります。
「ものの数を数える」ことも、簡単なようですが練習が必要なことのひとつです。
空間認識力をつける遊び
「積み木の数」の問題に強くなるには、「積み木遊び」が一番です。幼いころから積み木やブロック遊びに触れ合う機会が多い子は、自然と立体感覚を身に付けていきます。
発展的な遊びとして、
① 実際の積み木で作られたお手本を見て、同じように組み立てる
② 紙に書かれた積み木の絵を見て、同じように組み立てる
③ ②で組み立てた積み木の数を数えてみる
→このとき紙に書かれた積み木と見比べて「見えない積み木」の部分を確認する
①~③の順にしっかりと練習することで、空間認識力が養われます。
積み木の数え方の練習
平面で描かれた積み木を頭の中でイメージできるようになったら、次はそれを正確に数える練習です。目に入った積み木を適当に数えるのでは、数え忘れや重複して数えてしまう恐れがあるからです。
順序立てて、正確に数えるためのテクニックとしては
① 縦の列ごとに何個の積み木が重ねられているかを数える
② 立体をいくつかのかたまりに分けて数える
などがあります。自分に合う方法を見つけてみましょう。
おすすめ問題集
●こぐま会 ひとりでとっくん 65つみ木の数
●理英会 ばっちりくんドリル 立体図形 基礎編・応用編
●ピグマリオン 能力育成問題集 積み木の問題
積み木の数 ①・②
●のびラボ 分野別くり返し 積み木の数 Step.1・step.2・step3
まとめ
この記事では、立命館小学校の過去問からいくつか抜粋し、その問題を解くコツや学習するポイントについて解説してまいりました。
冒頭でお伝えした通り、小学校受験を突破するための一番の近道は、過去問を解き、傾向を知ることです。そこから『何を学習すればよいか』がしっかりと見えてきます。
最低でも過去5年分の過去問に目を通し、全体像をしっかりと把握したうえで、傾向にあった内容の学習を進めていくことが効率的です。
苦手なところが見つかれば分野別に掘り下げて学習してみましょう。
一つ一つ着実に苦手を克服し、また繰り返し過去問を解いて確認してみるのです。
すると、前よりも得点アップしていることで、「解ける」自信につながります。
「本番までに過去5年分の入試問題ですべて満点!」を目標に、繰り返し取り組んでいきましょう。
ライター名:maririn.h
国立教育大学卒業後、塾講師として勤務。その後私立中学校教師をつとめ、現在は2児の母として育児をしながら執筆活動中。保有資格は小学校教諭1種免許、中学校教諭1種免許(数学)、高等学校教諭1種免許(数学)。
これまでの教育現場で学んだ知識と、現在進行形の子育ての経験をもとに、役に立つ情報を発信していきます。